日常の注意点
生活習慣の中に椎間板ヘルニアのリスクは潜んでいます。あなたが日常的に、ある特定の状況や体勢で長い時間を過ごす場合は特に注意が必要です。もちろん置かれている環境によって注意点は異なりますが、ここでは一般的な要素をいくつか挙げてみたいと思います。
就寝時
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアの方は枕には気を付ける必要があるでしょう。上向きで寝る場合は、胸椎や頚椎の湾曲の度合いによって快適な枕の高さは異なりますが、明らかに頚椎に負担がかかるような高さの枕を使われている方が少なくありません。ここではあえて横向きで寝られる事をお勧めします。理由はその方が枕の高さの調節が簡単だからです。横向きで寝る場合は単に頭の角度が床と水平になる高さであればOKです。もちろん今まさにきびしい症状に悩まされておられるという場合は、最も楽な体勢でお休みになられる事を優先して下さい。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの方は出来るだけ固めのベッド、マットレス、布団を使われる事をお勧めします。上向きで寝ようと、横向きで寝ようと、腰が沈んでしまうような状態は明らかに腰椎や椎間板にとってはストレスな環境になってしまいます。実際にマットレス等を変えてから腰の調子が悪くなった、というお話は患者様からよく伺います。例え大枚をはたいて買ったものであっても、あなたの体に合わなかった場合は、思い切って買い替える事をぜひともお勧めします。
ちなみに腰に不安がある方は横向きで、胎児のように丸まった体勢で寝られる傾向があります。この場合はあまり丸くなり過ぎると腰椎の椎間板にストレスを与えてしまいます。出来るだけ腰は丸くならないように気を付けましょう。
座り方
これは頚椎、腰椎、どちらの椎間板ヘルニアの方にも気を付けて頂きたい、大切な要素です。特に座り仕事の方はぜひとも注意を払って頂きたいと思います。下の図1は椎間板ヘルニアを発症する方の典型的な座り方です。
このような前かがみの座り方は頚椎、腰椎、両方の椎間板にストレスを与えてしまいます。下の図2は私がお勧めする「椎間板にストレスがかかりにくい座り方その1」です。椅子の前の方に座って股関節の角度をやや下げながら、机の縁にお腹を付けて、そこに体重を預けてしまいます。背中は真っ直ぐのまま前にもたれるイメージです。そして腕にも少し体重が掛かるようにすれば、上半身の重みを分散して支えることが出来ます。実際に当院でアドバイスさせて頂く時には、お腹と机の間に折り畳んだクッションなどを挟む方法をお勧めしています。
この方法だとある程度長い時間座っていても、体が前に折れて徐々に丸くなっていってしまうのを防げます。それでも重力がかかる事自体は変えられませんから、長時間となると同じ体勢でいるのは消耗するでしょう。
下の図3は「椎間板にストレスがかかりにくい座り方その2」です。今度は椅子に深く座って机に出来るだけ近付けます。体は出来るだけまっすぐに保って下さい。今回は背もたれにもたれて結構です。ただ背もたれが後ろに倒れ過ぎる場合は背中に折り畳んだクッション等を挟んで下さい。座位のまま長時間を過ごす方は、上記の二つの座り方を交互に行うことをお勧めします。
鳴らし癖
椎間板ヘルニアの方が鳴らし癖を持っているケースは少なくありません。鳴らし癖とはついつい自分で首や腰を勢いよく捻ってボキボキッと関節を鳴らしてしまう癖のことです。それをすると楽になったような気がするのでついついやってしまう、という方多いですが、これは椎間板には非常にストレスを与える場合があります。
自分で関節を鳴らす場合は基本的にいつも同じ場所が動きます。同じ場所が鳴っているのです。もともと椎間板は捻りストレスに弱い上に、日常的に同じ関節を動かしていると関節自体が不安定になってくる可能性もあります。関節が不安定になると、その間にある椎間板にも余計なストレスがかかって、劣化を早める結果となります。実際に鳴らし癖を持っている椎間板ヘルニアの患者様を診てきた立場の人間としては、自分で捻って鳴らす事はとてもお勧めできません。
※カイロプラクティックのテクニックで矯正音が鳴るものがありますが、あれは捻りストレスが出来るだけ加わらないように関節をロックしてから、問題のある関節のみを矯正しますので、「自分で勢いよく捻る」のとは全く違います。ただ気を付けて頂きたいのは、カイロプラクターではない人たちが整骨院や接骨院などでテクニックのマネ事をしているケースが多くあります。
これは矯正ではなくただ首や腰を捻って音を鳴らしているだけです。特に椎間板ヘルニアの方にとってはこの「矯正もどきの捻り鳴らし」は危険以外の何ものでもありませんので、くれぐれも気を付けて下さいね。
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